株式価値とは何か

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本稿では、株式価値(あるいは株主価値)の定義について解説します。

株式価値の定義

ファイナンスの理論上、ある金融商品の価値はその金融資産が生み出す将来キャッシュフロー(=現金収支)の割引現在価値、と定義されます。株式は金融資産の一つであり、これはその株式が上場しているか、あるいは非上場であるかを問いません。したがって「株式価値」とは、ある企業の株式の所有者に帰属する将来キャッシュフローの割引現在価値、と定義することができます。(1)将来キャッシュフローの、(2)割引現在価値、というのがポイントです。以下、順に説明します。

将来キャッシュフロー

株主に帰属するキャッシュ・フローは、企業活動全体から生じるフリーキャッシュフローから、債権者に帰属するキャッシュフロー(有利子負債の増減や支払利息)を除外することで算定されます。具体的には以下の計算式によって、会計上の「当期純利益」から所定の現金収支に基づく加減調整を行うことで導き出すことができます

株主に帰属するキャッシュフロー=当期純利益+減価償却-設備投資-運転資金の増加額-有利子負債元本の返済額+新規負債借入額

なお、誤解されがちな点ではあるのですが、株主に帰属するキャッシュフローは配当性向とは無関係です。

実務上は、通常5年程度の予測期間に基づいて各年度のキャッシュフローを算出し、それを割引率(後述)によって現在価値に割り引いた合計額が株式価値となります。予測期間最終年の翌年以降については一括して、最終年度のキャッシュフローと以降の成長率からターミナルバリュー(永続価値)を計算する処理が一般的です。

割引率

今日の10,000円と一年後の10,000円の価値は異なります。今日の10,000円は投資・運用に回すことで収益を生み出すことができるため、一年後の10,000円よりも価値があります。ゆえに、将来発生するキャッシュフローから株式価値を計算する際には、期待収益率で現在価値に割り引く必要がある、ということです。具体的な収益率の計算は本稿では割愛しますが、リスクが高い資産ほど求められる収益率は高くなります。一般的な非上場企業において求められるリターンは、少なくとも東証株価指数(通称TOPIX。東証一部に上場している全銘柄の時価総額に基づく指数)のリターンを上回るべきであるといえるでしょう。

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